日本は現在急速な少子高齢化社会を進んでおり、その進行の速さは世界の中でも深刻なレベルにあるといわれています。
少子高齢化による課題や問題点は、それはもう山ほどあると思いますが、ここでは「学校」というかなり狭いとこにスポットをあて、その取組などをを学んでいきたいと思います。
この記事で学べること
この記事の根拠資料
この記事は、主に次の資料に基づき構成しています。
・~みらいにつなごう~「みんなの廃校プロジェクト」-文部科学省
・BACK TO 廃校プロジェクト - 政府広報
日本における廃校の現状
廃校の規模感
みなさんもたまにTVの企画で見かけたことありませんか?
たった一人の生徒が残った学校のドキュメントや、たった一人の卒業式といった特集を。
総じて素直な子どもたちが、健気にがんばる姿や地域との交流は微笑ましくもあり、ちょっと寂しい、そんな企画ですよね。
では、その子どもたちが去った後、学校はどうなるでしょうか?
そうです、最終的には廃校になってしまうことが多いのです。
日本では少子化の影響で廃校になった学校が、全国で6,800にのぼり、今でも年間500校が廃校になるといわれています。
今現在、全国の小学校数が約20,000校程度であるため、かなりの割合が廃校になっていることになります。
廃校の多い地域
ちなみに廃校の数が多い都道府県の第1位は北海道、第2位は東京都、第3位は岩手県、第4位熊本、第5位広島となっています。(文部科学省、廃校施設活用状況実態調査の結果について)
廃校と聞くと過疎地ならではの事象と思いきや、上位に東京も入っています。
東京の場合は、都市中心部から郊外へ人口が移動したことによる”ドーナツ化現象”が主な廃校の増加理由であると思われます。
そんな現状ですが、一方で廃校した校舎を活用して、地域を活性化して行こうっていう取り組みもあるようです。それが「みんなの廃校プロジェクト」というものです。
「みんなの廃校プロジェクト」とは
概要
「みんなの廃校プロジェクト」は文部科学省が主導する取組で、廃校によって遊休施設となっている校舎などを活用しやすいよう、地方公共団体と民間企業等を橋渡し(マッチング)することを主な内容としています。
出典:~みらいにつなごう~「みんなの廃校プロジェクト」-文部科学省
利用状況
気になるのは、実際の廃校施設の活用状況です。これに関しては文部科学省のデータがありますので、こちらをご覧ください。
施設が現存している廃校数 | 5,943校 | |
活用されているもの | 4,198校 | 70.6% |
用途が決定済 | 314 | 5.3% |
用途未定 | 1,260校 | 21.2% |
取り壊し予定 | 171校 | 2.9% |
用途が決まっていない約2割に対してもなんとか活用していこう、というのが「みんなの廃校プロジェクト」の意義です。
具体的な廃校活用事例
廃校した校舎の活用事例で多いものは学校や体育館、公民館、老人ホームといったものですが、ここでは特にちょっと変わったものや、地域活性化等に効果的と思われるものをピックアップしてご紹介します。
むろと廃校水族館(旧 室戸市立椎名小学校)
https://twitter.com/murosui_kochi
なんと、校舎のプールを水族館に!
こちらの「むろと廃校水族館」は平成30年4月にオープンした新しい水族館で、50種類1000匹以上の魚が展示、飼育されています。
しかもシュモクザメやウミガメといった大型のものもあり、しかもそれを真上から眺めることができるというのも、他の水族館にはなかなか無いポイントではないでしょうか。
水族館の他に、図書館も活用できるなど小学校感も満載!全国から多数の観光客も訪れているようです。
のじまスコーラ(旧淡路市立野島小学校)
https://www.nojima-scuola.com/
2010年に閉校となった淡路市立野島小学校を、自然やアート、美味しい料理を堪能できる場所としてオープン。「農・食・学・芸」をキーワードに、地域に愛される人気スポットになっています。
校舎を利用して、地元野菜の販売や、おしゃれなカフェやレストランを運営!おまけに屋外には動物園まで併設されています。
シェアキャンパス清海学園(旧勝浦市立清海小学校)
http://seikai-gakuen.jp/about.html
シェアオフィスとして、リーズナブルな価格でコアワーキングスペースを利用することができます。海まで0分のロケーションを生かすことでワークライフバランスの充実を目指し、早朝サーフィンや家族でBBQなど。新しい働き方への提案も行っています。
まとめ
少子化に伴い学校がどんどん廃校になっている現実の一方で、その施設を活用していこうという取り組みが活発に行われていることが分かりました。
この記事では大きく、2つの事柄が伝えられればと考えています。
- ひとつは社会の大きな動きとして、こういう取り組みがあるよ…ということ。
- もう一つは、廃校舎の活用事例には魅力的なものが多い、ということです。
活用の仕方は、食、働ける、泊まれる、体験できると様々ですが、それを小学校のロケーションで味わうことができるということがポイントです。
今回は具体的な事例を3例ご紹介しましたが、全国にまだまだ様々な取り組みがあります!
ちょっと行ってみたいなって思いませんか?
僕は、校舎の廊下、たくさん並んだ水道、黒板などを見るとちょっとノスタルジーに浸ってしまいそうです。
全国廃校活用MAPというものがあります。
是非、お近くに廃校舎を活用したスポットがある場合は、お出掛けしてみてはいかがでしょうか。