健康寿命って耳にしたことありますか?
最近よく聞くこの言葉は、平均寿命と異なり、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とWHO(世界保健機関)により定義付けられています。
同じ長生きでも、寝たきりとかは誰でも避けたいですもんね。ましてや日本はこれから超・高齢化社会を迎えつつありますから、重要なキーワードだと思います。
今回はこの健康寿命の延伸について、日本が取り組んでいる現状等を学んでいきます!
この記事で学べること
健康寿命の現状
日本は平均寿命が世界トップクラスの長寿大国です。
ではその平均寿命に対して、現状の健康寿命はどのようになっているかグラフを見てみましょう。
データによると、平均寿命と平均寿命の差が、男性で「9.13年」、女性で「12.68年」となっています。
つまりこの期間は「日常生活に制限のある不健康な期間」といえるのです。
女性では13年近くも何らかの制限のある生活が続くと思うと、やはり生きていくのがツライと感じる人もいるでしょう。
そこで今盛んに言われているのが”予防医療”と呼ばれるものです。この予防医療は健康寿命を実現するための取組であるだけでなく、増え続ける社会保障費を抑制するための切り札ともいえるものだと思います。
日本政府の取り組み
現在、日本政府では健康寿命の延伸にもつながる取り組みを色々行っています。
日本再興戦略「世界最先端の健康立国へ」
安倍政権の成長戦略として打ち出された政策「日本再興戦略2016」の中で『名目GDP600兆円に向けた官民戦略プロジェクト10』の施策が提起されています。
その10の施策を見てみましょう。
名目GDP600兆円に向けた官民戦略プロジェクト10
「1.第4次産業革命(IoT・ビッグデータ・AI・ロボット)」
「2.世界最先端の健康立国へ」
「3.環境・エネルギー制約の克服と投資拡大」
「4.スポーツの成長産業化」
「5.既存住宅流通・リフォーム市場の活性化」
「6.サービス産業の生産性向上」
「7.中堅・中小企業・小規模事業者の革新」
「8.攻めの農林水産業の展開と輸出力の強化」
「9.観光立国」
「10.官民連携による消費マインド喚起策」
2番目に「世界最先端の健康立国」を目指すと謳われています。 しかもKPI(目標の達成度を評価するための指標)をきちんと設定しているので、単なる掛け声ではなく、実現していくという意気込みが感じられます。
《KPI》
2020年までに国民の健康寿命を1歳以上延伸
【男性70.42歳、女性 73.62 歳(2010 年)】
では、健康寿命を1歳引き上げるためには、具体的にどんな施策を打つのでしょうか。
プロジェクト名が「官民」ですから、当然民間企業と連携して様々な取り組みがなされています。IoT、ビッグデータ、AIを活用した新しい健康・医療関係サービスを中心とした取り組みです。ここでは現在取り組み中の一部をご紹介します。
- セルフ健康チェックサービスの進展
- 人工知能を活用した診断サポート提供
- 活動データを使った最適なサービス提供
①セルフ健康チェックサービスの進展
指先で自己採血した血液から、検査会社が生活習慣病関係項目を検査、1週間程度で結果がドラッグストアやスマートフォンに届く事業。グレーゾーンを解消したことにより実現。
※グレーゾーン解消制度の詳細はこちら
②人工知能を活用した診断サポート提供
日エクスメディオ社は、提携皮膚科医を活用し、非皮膚科医に対し、スマートフォンのアプリケーションを通じて送られた、患部の写真と問診情報をもとに、無料で、皮膚病の診断支援サービスを開発。
得られた画像データをもとに、技術課題の解決や、医療現場での理解を深めつつ、3年以内に人工知能を活用した医療診断支援システムの構築を目指す
③活動データを使った最適なサービス提供
日FiNC(フィンク)は、遺伝子・血液等の検査、食習慣・生活習慣を
把握できるアンケート、活動データの記録などのライフログを元に、最適なダイエットプランを提案してくれるスマホアプリ「FiNCダイエット家庭教師」を提供。
Society5.0
「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会、「スマート社会」を目指すとして提唱されたキャッチフレーズ、それが「Society(ソサエティ)5.0」です。
この取り組みの一つに「次世代ヘルスケア・システムの構築」があり、この中で健康寿命延伸に関する取り組みが盛り込まれています。
日本再興計画同様、KPIが設定されています。
《KPI》
2020年までに国民の健康寿命を1歳以上延伸
2025年までに国民の健康寿命を2歳以上延伸
【男性70.42歳、女性 73.62 歳(2010 年)】
Society(ソサエティ)5.0に関しては、こちらの記事もどうぞ
健康日本21
日本全体の健康寿命を延ばすため、2000年から開始された取り組みです。
第一次取り組みは2012年に終了し、現在は第二次として2013年から2022年までの10年計画で進められています。
「健康日本21」の目的は、生活習慣病の防止、地域間の健康格差縮小などに取り組むことで、すべての国民が健康で豊かな生活ができることを目指すものです。
Smart Life Project(スマート・ライフ・プロジェクト)
厚生労働省が主催する「スマート・ライフ・プロジェクト」という国民運動があり、その中「健康寿命を延ばそう!アワード」というものが開催されています。
受賞内容を見ると、色んな企業や自治体が地域に根差した取り組み行っていることがわかります。中でも、最優秀賞を受賞した住友生命の「Vitality」というサービスは、まさに健康のための総合サービスといった感じです。
スマート・ライフ・プロジェクトでは各地で健康イベントや相談会を開催して、具体的な健康指導や啓もう活動を行っています。
地方自治体の取り組み
国の取り組み、方針に基づき、各地方自治体では独自の健康施策を実施し、健康寿命の延伸に努めています。ここではそのいくつかをご紹介します。
タイトル | 取組内容 | 市区町村 |
健康マイレージで健康促進 | 日々の運動や食事などの生活改善、健康診断、ボランティアなどの社会参加を行った住民が特典を受けられる制度。優待カードが発行され、協力店で利用できる。 | 静岡県 |
健康マップ作成 | 住民の特定検診データをもとに市町ごとのメタボ率等を見える化。 | 静岡県 |
タバコと向き合う松本スタイル | 「さわやか空気思いやり事業」として「全面禁煙」「分煙」等のステッカーを配布し市民へ啓発。 | 長野県松本市 |
はじめよう!減塩生活 | 高血圧の要因である塩の過剰摂取に着目し、各種イベント、キャンペーン等を実施。 | 広島県呉市 |
妙高の自然を利用した健康運動 | 妙高の持つ自然資源や温泉を活用し、「健康保養地プログラム」を事業として実施している。 | 新潟県妙高市 |
まとめ
2020という区切りに向けて、健康寿命の取り組みは今後も加速度的に高まっていくと思われますが、国の取り組みは一つの大きな方向性であり下地となる環境です。
やはり私たち一人ひとりの健康は、まずは自分の意識や行動に掛かっているんだろうなぁと思います。そういった意識や行動を持ったうえで、最新技術の進歩があれば、健康寿命は伸びていくのだと思います。
それでは最後に、スマート・ライフ・プロジェクトのサイトに掲載されていた「3つのアクション」をみんなで確認してみたいと思います。
Smart Walk | 毎日10分の運動を+ |
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Smart Eat | 一日あと70gの野菜を+ |
Smart Breath | 禁煙でタバコの煙を- |