今回は経済産業省認定の国家資格「ITパスポート」に関する情報をまとめていきます。
この資格はIT業界の方のみならず、どんな職種の方でも基礎知識として持っておくと非常に役立つ範囲が盛り込まれているため、是非チャレンジしていただきたい資格です。
ITパスポートの概要
基本的情報
対象 | ITを利活用する全ての社会人・学生向け |
試験予定日 | 随時 |
試験地域 | 全国各地 |
受験料 | 5,700円 |
試験時間 | 120分 |
試験方式 | CBR方式 ※紙ではなくコンピュータを利用して実施する試験方式 |
出題数 | 100問 |
配点 | 1,000点満点 |
合格基準 | 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること
総合評価点 600点以上/1,000点 |
合格率 | 40%~50% |
更なる詳細、試験申し込みはこちら → 【ITパスポート試験】情報処理推進機構
分野別出題範囲・内容
出題範囲は①ストラテジ系、②マネジメント系、テクノロジ系の3分野に分かれており、合格するためには各分野ともバランスよく学習しておく必要があります。
①ストラテジ系
ストラテジとは「経営においての戦略」を意味しており、元々は軍事用語でしたが、経営や経済、外交の分野でも応用されるようになりました。
具体的な内容としては、企業活動と法務、経営・技術戦略マネージメント、ビジネスインダストリー、システム戦略・企画などがあります。
②マネジメント系
マネジメントとは、ビジネスにあって様々な資産やリスクを管理して、経営効果を最大限に引き出すことを言います。
具体的には、システムやソフトウェアの開発技術や、プロジェクトを成功させるためのプロジェクトマネージメント、ITによる顧客のニーズを探るサービスマネジメント等があります。
③テクノロジ系
テクノロジはまさにテクノロジー…情報・科学という感じです。
基礎理論やアルゴリズムとプログラミング、システムのハード面など、一番技術色の強い問題です。
学習方法
ここでは私、カフェランの学習方法をお話させていただきます。独学でも十分合格できると思いますので、一つの参考にしていただければと思います。
学習期間
まず自分の場合、学習期間はだいたい2か月程度確保しました。
学習時間については、一日にどれくらい出来るかという要素もありますので、一概にはいえませんが、自分の場合は一日に1時間30くらい(30分は電車の中での参考書読み)です。
2~3時間可能な方であれば、もっと短期間で対応可能だと思います。
学習の流れ
学習の流れを簡単にいうと以下のとおりです。
- まず参考書をざっと2周くらい読み込む
- 参考書についている問題集や、ネット上の過去問を解きまくる
- 間違った箇所は回答をみて確認
- ②~③のループ
①まず参考書をざっと2周くらい読み込む
基本的には参考書の内容を十分理解することです。その為には覚えるしかないんですが、
まずは軽く目を通す感じで最初から最後まで読みます。この時気になる用語があれば解説も読みます。出勤や通学の方は電車の中がおススメです。
参考書の読み込みを長時間やろうとしても集中力が続きません。それよりは短時間でも毎日決まった時間やることが大切です。そういった意味では通勤電車の中って時間も決まっているし、ルーチン化しやすいんです。
そうして一通り目を通したら、また初めから読み込みます。2回目は参考書で黒字になっている用語、キーワードを重点的に覚えていきます。
用語の意味を頭で考えて、参考書みて確認して、みたいな感じで進めていくと自分の理解度も認識できます。
そうして、繰り返していくと知識が記憶に定着していきます。
あとはとにかくアルファベット3文字の用語がやたら出てきます。
混同しないよう、意味と字面を紐づけられるまで繰り返し覚えておきましょう。
《参考:下記は時に出題頻度が高いと思われるものです》
MRP | Material Requirements Planningの略。資材所要量計画のこと |
ERP | Enterprise Resource Planningの略。生産から販売、会計、人事を含め企業内の資源を有効活用して改善する手法 |
PPM | Product portfolio Managmentの略。企業が扱う製品やサービスを「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の4つに分類する経営手法 |
CRM | Customer Relationship Managementの略。営業活動だけでなく全社的な規模で顧客と関係強化する考え方 |
CSF | Critical Success Factorsの略。重要成功要因と呼ばれ、経営戦略を成功させるために重要なもののこと |
BSC | Balanced Scorecardの略。数値だけでなく、様々な視点から経営を評価するバランスの取れた業績評価の手法 |
ちなみに私が使用した参考書はこちらです。(私が購入したのは28-29年度版です。)
「ITパスポート試験対策&過去問題集」FOM出版
実際の試験の問題はほぼ網羅されていますし、専門用語解説も充実していて、とても理解しやすいです。紙面の色使いも控えめなため、目にも優しい感じです。
また、付属のCD-ROMには過去問題が収録されており、本番と近い形で問題を解くことができます。本当にこの機能はすごく助かりました!CBR方式の予行練習にもなります。
参考書は他にも様々なタイプがありますので、書店等で確認し、自分にあったものをご購入いただければと思います。
②参考書についている問題集や、ネット上の過去問を解きまくる
ある程度、参考書の内容が定着してきたら、実際の問題を解いていきましょう。
①がインプットだとすれば、②はアウトプットです。ここで重要なことは、問題を解くことで、自分が今把握できている部分と、出来てない部分を明確化するということです。
これをやるためにとても役に立つのが、ネット上でチャレンジすることができる過去問題です。
私はこちらのサイトにお世話になりました。
サイト名:ITパスポート試験ドットコム
こちらのサイトの「過去問道場」では、過去問題に挑戦することができます。
上記画面のとおり、様々な出題形式を指摘できるため、自分の学習レベルに応じて挑戦することができます。特に学習後半時点では、年度や分野をランダムに出題して、総点検のように問題を解くと苦手な分野がなくなり、自信がつくと思います。
③間違った箇所は回答をみて確認
間違えた問題の振り返りは必ず行いましょう。
これをきちんとやれば、高い確率で次は正解できるようになります。
④ ②~③のループ
このサイクルにどれだけ時間を変えられるかで、合格率が大きく変わるといっても過言ではありません。
ITパスポートの活用事例
民間企業・官公庁での活用事例
ITパスポートを保持していることで、社会人としての基礎知識とIT知識を兼ね備えていることを証明することができます。
実際に採用時のエントリーシート等でITパスポートの有無を確認する企業が増えているようです。それは、企業においてITは必要不可欠なため、予め知識を持っている方を採用したいと考えているためです。
《民間企業の例》
・KDDI…採用情報で推奨資格として記載されています。
・日立ソリューションズ …社内で資格取得を推奨されています。
・大塚商会 … 応募条件に、入社までに要ITパスポートと記載されています。
《官公庁の例》
・埼玉県警 … 資格取得により採用試験で加点対象となります。
・兵庫県警 … 資格取得により採用試験で加点対象となります。
・行田市 … 中小企業の補助金対象の条件の一つとして資格があります。
まとめ
ITパスポートは「IT」と謳いながらも、決してそれだけではなく、財務・会計や様々な経営手法、昨今特に重要な個人情報保護、コンプライアンスと企業に勤めていく上で必要な基礎知識が万遍なく学ぶことが出来るので、是非取得をおススメします!
また、より技術色の強い資格を取得したい場合は、同じ「情報処理技術者試験」の括りである、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験に進むのも比較的スムーズかと思います。
※レベル的にはITパスポートが1とすると、基本情報が2、応用情報が3程度とされています。