みなさん、パラリンピック種目である「ブラインドサッカー」そして「ゴールボール」という競技はご存知ですか?
共に視覚障がい者のために考案されたスポーツですが、今これらのスポーツがとても注目されています。
今回は両競技のルールや特徴、パラリンピックでの見どころについてご紹介いたします。
ブラインドサッカー
概要
アイマスクをつけてボールの音とまわりの声で行う5人制サッカー。見えない状態でボールの位置、相手の位置、ゴールの位置を把握し、力強いシュートでゴールを奪いに行くスポーツです。
どんなものかを知るにはこちらの動画をご覧いただくと分かりやすいです。
基本的なルール
競技の種類
ブラインドサッカーには次の2種類の種目があります。
ブラインドサッカー | ロービジョンフットサル |
ゴールキーパー以外は全盲の選手がプレーします。視覚障がい者スポーツのクラス分けの用語を用いて、B1クラスと呼ばれることもあります。 | 弱視の選手が主にプレーします。視覚障がい者スポーツのクラス分けの用語からB2/B3クラスと呼ばれることもあります。 |
主な特徴
ブラインドサッカーはルール、使用する道具に通常のフットサルにはない特徴があります。
ボール | フットサルと同じ大きさのボールで、転がると音が鳴るようにできているため、全盲の選手がボールの位置等を把握できるようになっています。 |
掛け声 | ボールを持った相手に向かって行く時は「ボイ!」と声を出さなければならないルールになっています(声を出さなければファール)。これは選手の存在を知らせ、危険な衝突を避けるためのルールです。なお「ボイ(Voy)」とはスペイン語で「行く」という意味です。 |
アイマスクの着用 | プレイする上で公平を図るため、目の上にアイパッチをはり、アイマスクを着用することが義務付けられています。(ゴールキーパーは目の見える人が務めます。)
なお、国際大会では専門医による視力検査で全盲と判断された人しか出場できませんが、国内ルールでは競技の普及のため、アイマスクを着用すれば目の見える人プレーすることができます。 |
目の見える人の協力 | 敵陣ゴールの裏に「ガイド(コーラー)」と呼ばれる役割の人が立ち、ゴールの位置と距離、角度、シュートのタイミングなどを声で伝えます。選手同士の声の掛け合いも含めたコミュニケーションが勝負のカギを握ります。 |
観戦マナー | 競技にとってボールの音や味方からの指示等は大事な情報です。それを邪魔しないように、プレー中は観客も静かに見ることが求められます。その代わりゴールが決まった瞬間は大歓声を送るのがマナーです。 |
試合時間 | 前後半 各20分 |
上記はブラインドサッカーの特徴ですが、ロービジョンフットサルの場合はボールも通常のフットサル用を使用し、アイマスクをしない等の違いがあります。
世界と日本の状況
今現在の世界の勢力図と日本がどの位置にいるかを簡単にまとめます。
◆ブラジル
現状世界のトップは南米ブラジル。サッカーの強豪国ですが、ブラインドサッカーでもめちゃ強い。なんといっても前回(2016年)パラリンピックの優勝国!
ブラジルのプレイスタイルは選手に指示を出すポジションであるガイドが、ほとんど指示を出さないというところです。それだけ選手の主体性に任せても圧倒的な個人技でゲームを運べる強みがあるといえます。
◆イラン・中国
アジアの中でもブラインドサッカーが盛んになってきています。アジアの中で一番早くブラインドサッカーを導入したのは韓国でしたが、2008年の北京パラリンピック以降中国が競技に本腰を入れ、アジア大会4連覇を達成するなど、今ではアジアトップの世界ランキング4位に君臨しています。
そして、そう一つのアジア強豪国がイラン。前回(2016年)パラリンピックの準優勝国ですからその実力は確かです。
現在はイラン、中国に韓国と日本を加えた国がアジアのトップ4と呼ばれています。
◆日本
日本代表はこれまでパラリンピック出場したことがありません。前回リオ時点での世界ランキングは7位であったことから十分出場圏内でしたが、アジア枠をイランに奪われた格好となっています。
まずはアジアでの順位を上げていく必要があります。
各種情報
ブラインドサッカー日本代表の各種イベント等は下記のサイトで確認することができます。試合も無料で観戦できますよ。
またツイッターでも情報が更新されています。
2020
2019年、たくさんの応援をありがとうございました!
2020年、共に闘い、メダル奪取へ。そして、視覚障がい者と健常者が混ざり合う社会の実現へ。
今年も応援よろしくお願いします!#burasaka #謹賀新年 pic.twitter.com/SdvZFl9RrG
— JBFA 日本ブラインドサッカー協会(5人制サッカー) (@JBFA_b_soccer) December 31, 2019
ゴールボール
概要
アイシェードという目隠しを着用した1チーム3名のプレーヤー同士が、コート内で鈴入りボールを転がすように投球し合って味方のゴールを防御しながら相手ゴールにボールを入れることにより得点し、一定時間内の得点の多少により勝敗を決める競技です。
どんなものかを知るにはこちらの動画をご覧いただくと分かりやすいです。
基本的なルール
主な特徴
ボール | バスケットボールくらいの大きさで重量は1.25kg。中に鈴が2つ入っています |
アイシェード | スキー用のゴーグルを光が入らないよう加工したもの |
コートとゴール | コートは縦18m横9mで、横幅が同じゴールポストが設置されています |
観戦マナー | 選手はボールの鈴の音とレフェリーんのコールや笛の他、相手選手の声や息づかい、足音を聞き分けてプレイします。そのためプレイ中は静寂のなかで行われます。 レフェリーが「Quiet Please!」とコールしたら、静かに!の合図。ゴールが決まった瞬間やタイムアウト等、タイマーが止まっている時は「チェアタイム」で音を出して応援できます |
試合時間 | 前半後半 各12分 |
基本的には相手ゴールめがけてボールを交互に投げていきますが、投げ方によってペナルティが与えられます。
投げたボールが「チームエリア」及び「ニュートラルエリア」の両方に接する必要があります。
世界と日本の状況
2019年最新の世界ランキングは以下のようになっています。
【男子】
1位 | ブラジル |
2位 | リトアニア |
3位 | ドイツ |
4位 | 中国 |
5位 | ベルギー |
6位 | トルコ |
7位 | アメリカ |
8位 | イラン |
9位 | フィンランド |
10位 | スウェーデン |
◆女子
1位 | トルコ |
2位 | 中国 |
3位 | ブラジル |
4位 | 日本 |
5位 | ロシア |
6位 | アメリカ |
7位 | カナダ |
8位 | イスラエル |
9位 | オーストラリア |
10位 | ギリシャ |
なんと女子代表は世界ランキング4位なんです。前回リオのパラリンピックにも出場し、おしくも5位という結果を残しています。逆にいえばメダルも期待できる位置にいるということですね。
是非東京パラリンピックでも注目していきたいと思います。
各種情報
ツイッターで各種情報が随時更新されています。
まとめ
両競技とも視覚障がい者のために考案されたスポーツ、音の鳴るボール、目を隠すシェードなどといった共通点はありますが、そのプレイ内容は大きく異なる部分があります。
大きく動き回るブラインドサッカーに対し、限られた空間で攻防を繰り返すゴールボール。
いずれも独特の雰囲気の中で行われる様子は緊張感があります。
たとえ障害であってもやりがいなどを感じれるように、こういった競技がもっと広まってほしいという気持ちと共に、単純にスポーツとして観ていて面白いんですよね。
是非これをきっかけに、試合場にも足を運んでみてはいかがでしょうか。