長く一戸建てに住んでいると不可欠なのが、自宅のメンテナンス。その中でも特に大切といわれているのが”外壁塗装”です。
しかしながら外壁塗装は、一生のうちそう何度も体験することではないですし、費用も高額になるので、どの業者に依頼するのがベストなのか悩みどころだと思います。
今回は我が家の事例を基に、業者選びのポイントを説明いたします。失敗しない外壁塗装のご参考にしていただければ幸いです!
この記事で学べること
外壁塗装の基礎知識
外壁塗装はなぜ必要か
家は雨や風、紫外線といった厳しい自然の環境に一年を通して晒されており、そのダメージの蓄積は私たちの想像する以上です。
特に水のダメージは深刻で、新築当初は備わっている水をはじく効果”防水”は、年数と共に失われ、壁自体が湿気を帯びてきます。そこから壁の歪みやクラックと呼ばれる”ヒビ”が入ることもあります。
そうやって内部から劣化することで、雨漏りだけでなく、やがては家の土台や基礎部分にも影響が及んでいくのです。
外壁や屋根は”防水”や”断熱”といった機能を発揮して家を守りますが、塗装はその機能の寿命を大幅に伸ばすことによって家を長く守ってくれるのです。
そしてもう一つ、美観の向上という要素もありますね。
外壁塗装の対象範囲
外壁塗装といっても、実際に塗装を行う箇所は外壁だけではありません。多くの場合は以下の箇所も同じタイミングで塗装を行うことが望ましいです。
- 外壁
- 屋根
- 付帯部分(軒天、雨樋、破風・鼻隠し、笠木、雨戸・戸袋、水切りなど)
- ベランダ防水
なぜ同じタイミングで行う必要があるかというと、これらの作業はいずれも”足場”を組んで作業する必要があるため、足場代が必要なのです。
タイミングを合わせて塗装を行うことで、足場代を浮かせることができます。
この中で、外壁や屋根は分かりやすいですが、付帯部分といわれる箇所も重要です。
軒天や雨樋といった細かい箇所も当然劣化が進んでおり、ここを放置し他を綺麗にしても全体としてみた場合に、綺麗に見えづらいのです。
そして、当然劣化によって交換するより、塗装の方が費用的に安いということもあるため、そういう意味でも併せて行うことがベストです。
一般的な実施周期
外壁塗装の実施周期は使用する塗料のグレードによって、およそ7年から20年程度といわれています。
しかしこれはあくまで一般的に言われていることで、実際は様々な判断ポイントがあります。
外壁塗装コンシェルジュというサイトで、詳しい外壁塗装の実施周期について掲載されていますので、是非参考にしてみてください。
外壁塗装を行うきっかけ
恥ずかしながら、我が家には外壁塗装に関する意識があまりありませんでした。
まぁ勉強不足といってしまえばそれまでですが、家の不調も特段感じていなかったため、必要性を感じていなかったというのが正直なところです。
外壁塗装を考え始めたきっかけは、同時期に家を建てたお隣さんが、外壁塗装をやっていたからです。
そこから少し外壁塗装のことを勉強し始めたところ、築14年目を迎えた我が家は少し遅いくらいのタイミングだということが分かりました。(上記の「一般的な実施周期」参照)
こういった経緯もあって、真剣に考え始めたという流れです。
業者への見積もり依頼
さて、実際に外壁塗装を行うためには、専門業者に依頼することになりますが、まず最初のハードルはどの業者に依頼するべきか…です。
調べてみると外壁塗装には考えるべきポイントが非常に多いです。価格的な相場は一応あるようですが、塗料をどういったグレードで仕上げるかによっても違います。
では、どのグレードで行うか…ってことを考える必要がありますが、これもどれがベスト?って悩むわけです。
やはり素人が考えているだけでは始まらないので、業者に聞いていくのが一番、ということでさっそく見積もりを取ることにしました。
…といった検討をしていたところ、タイミングよくある業者さん(A社)から営業の連絡をいただいたところから、我が家の外壁塗装はスタートしました。
A社(営業)
電話でテレアポしてきたA社さん。家の築年数や外壁塗装を考えているか等について質問を受けます。
普段であればこういった電話は軽く対応して、丁重にお断りするのですが、今回はちょうど
考えていたタイミングだったため、こちらも割と前傾姿勢。
話を聞くと、ただいまキャンペーン中につき、会社の広告費を使って足場代を無料にさせていただいています…とのことでした。
そして家の坪数を教えてくれれば、見積もりを作成します、とのことだったのでお願いし後日持ってきてもらうことにしました。
A社との主なやり取り・特徴
- 今月中にご契約していただければ自社の広告費を使って足場代を無料にさせていただく
- 外壁塗装は洗浄も大事。ウチは”バイオ洗浄”というもので汚れをしっかり落としてから塗装を実施
- 作業員は下請けではなく全員自社の社員。責任もって作業にあたる
- 価格は単純に比較するのではなく、使っている塗料などで判断してほしい
- 見積もりを取るにあたり現地調査は行っていない
- 見積もりは塗料別(フッ素系、ラジカル系、シリコン系)に3種類の提案あり。内容は比較的詳細まで記載
A社の営業担当さんからは説明も詳しくしていただきましたが、外壁塗装の説明を聞いたのが初めてということもあり、まだこの時点ではどれがよいか判断に迷いがありました。
またバイオ洗浄を売りの一つにされていましたが、その後他の業者さんの話を聞くと、ほとんどが同様のサービスを行っていました。
外壁塗装パート―ナーズ
元々、適正な価格を判断するうえで相見積もりは重要、という考えはあったため、複数社に見積もりを依頼することにしました。
ただ、個別に見積もりを依頼していると手間がかかるため、一度に取れないかな?ということで調べた結果「外壁塗装パート―ナーズ」さんへ依頼させていただくことにしました。
外壁塗装パートナーズさんは、地元の優良外壁塗装業者 最大3社に見積もり依頼をしてくれるというサービスを提供しています。
利用方法
使い方はいたって簡単!
- まず自宅の郵便番号を入力すると、サービス自体が受けられる地域かどうか判定を行います。
- 対応可能エリア(優良な業者さんは複数いる等)という判定があれば、あとはページ上でいくつかの項目を入力し申し込み
- 翌日以降に電話があり3社ほど紹介。この際各業者との日程調整も併せて実施
ということで、1日程度で3社との打ち合わせ日まで決まってしまいます。そしてその内容はメールでも送ってくれるため、後で日程等を確認できて便利でした。
また、外壁塗装パートナーズのWEBサイトは、業者さんとの間をつなぐだけでなく、相場価格や塗装時期など、外壁塗装に関する基本的な情報も掲載されているため、ここで色々と勉強することもできます。
B社(外壁塗装パートナーズ経由)
B社は比較的規模の大きい業者さんで、体格のいい営業担当の方がいらっしゃいました。家族の話なども交えつつ、フレンドリーな雰囲気で接する感じです。
B社との主なやり取り・特徴
- ドローンなども使って現地調査を行う
- 過去の台風等の被害と思われる箇所があった。火災保険で修理できる可能性が大きい。保険で屋根修理を行う際足場を組むので、同時に塗装を行えば足場代をうかせることができる。同様のケースを何度も経験しているので任せてほしい。
- 外壁塗装の専門書を貸していただく
- 費用について、価格競争になるので安さにはこだわっていない
- 見積もりは塗料別(フッ素系、ラジカル系)に2種類の提案あり。内容は比較的簡略化(付帯費用などを一括で提示している等)
塗装そのものの説明よりも、火災保険を使ったコスト削減のような手法?について詳しく説明がありました。これは知らない知識でしたが、確かに火災保険には”風災補償”が組み込まれていることが多く、申請すれば認められることも多いようです。
ただし、この時点で我が家のケースが該当するか分からなかったため、参考程度にしていました。
また、他の業者に比べて見積もりの内容がざっくりしているのが気になりました。塗料のメーカーや塗装箇所別の費用をみようとしても分からない感じです。
C社(外壁塗装パートナーズ経由)
C社も割と大きめな業者さんで、営業担当さんがいらっしゃいました。物腰の柔らかい丁寧に話をされる方です。
C社との主なやり取り・特徴
- 現地調査を一番詳細に行っていただいた業者。現地調査の結果を多くの写真が入った冊子にして説明していただく
- 外観は今の雰囲気を保ちたい。との妻の希望に基づき、一部クリア塗装を提案いただく。
- 見積もりは塗料別(フッ素系、ラジカル系)に2種類の提案あり。内容は比較的詳細まで記載
現地調査にも手間をかけ、現状の問題点を丁寧に説明していただきました。質問をすれば丁寧に回答があったりと、対応にも好感が持てるものでした。
D社(外壁塗装パートナーズ経由)
D社は社員10名程度の会社を営んでいる社長さん自らがいらっしゃいました。とても熱い方で誠意が伝わってきました。
D社との主なやり取り・特徴
- サイディング外壁にとって目地のコーキングがかなり重要。現在のところ一番性能がよいといわれている”オートンイクシード”というシーリング材を使うことで、長期的に性能が保たれるため、他の塗装周期と合わせることが可能
- 塗装技能士1級取得済み。現在社員の一名も1級挑戦中
- この業界は実は何でもあり。「この塗装を使う」といって他の安い塗料を使ってもお客さんは分からない。でも私たちは適正な価格で、適正な仕事をしたいという思いでやっている。塗料缶も新品をお客様の前で開ける
- 外観は今の雰囲気を保ちたい、という言葉に「今のカラー配置はベスト!この雰囲気を保ちましょう!」と言ってもらえた。
- 見積もりは塗料別に3種類の提案あり。内容は詳細まで記載。特に算出根拠となる面積の計算もかなり詳細に実施
とにかく目地のコーキング劣化がどういう被害につながるかを丁寧に説明してもらいましたが、その説明が本当に分かりやすい。
また社長という立場で話されているため、すべて責任の伴った内容であり、信用に足るものでした。
業者の決定
合計4社の見積もりと説明を受けて、我が家依頼したのはD社でした。
単純な価格の比較では次のようになります。
D社 > C社 > A社 > B社
一番価格が安かったということもありますが、D社はとにかく説明が分かりやすかった。そして、本当にお客様にとって何がベストかを考えて、提案してくれているのが一番伝わったというのが大きかったです。
この項のまとめとして、個人的に感じた業者選定を行ううえでのポイントを以下のとおりです。
- 規模の大きい業者は、宣伝力や企業の継続性(簡単には潰れない)がある反面、下請け業者との中間費用が掛かるため、見積もり金額も高めな印象。
自社職人を抱える個人業者はコストを抑えられる傾向にある - キャンペーンで安く…という謳い文句は営業手法の一環であり、他の項目(塗装面積の算出等)でコストを調整している可能性が高いため注意する
- 屋根、外壁、コーキング…の塗装周期が同じタイミングで到来するよう、塗料やシーリング材を選択する。またはそういう視点で提案してくれる業者を選定する
- 塗装技能士という国家資格は、特に1級など級があがるほど取得難易度が高いといわれており、これを持っている職員さんは、ある程度技術力が担保されていると考えてよい。
- 相見積もりを比較するときは塗装面積にも注目する。面積は図面を基に算出しているはずであるが、業者によって見事に異なる。計算根拠を示している業者は信ぴょう性が高い
我が家の外壁塗装
最終的にD社と契約した我が家ですが、使用した塗料等は以下のとおりです。いずれも詳しく説明してもらい、納得できるものでした。
- 外壁
ナノコンポジットW(3回塗り)保証期間10年)
我が家はあまり艶感を出さずマットな仕上がりを希望していましたが、通常は艶消しの調整をすると耐久性が落ちるものです。しかしこのナノコンポジットは艶消し、耐性を両立した塗料で、井上春成賞(科学技術振興機構) という日本三大技術賞の一つを受賞した塗料です。雨でクリーニングの効果を発揮するというポイントも高し。 - 屋根
サーモアイSi(3回塗り)
塗装することで素材の表面温度を15℃~20℃下げる効果のある塗料です。
夏場の冷房効果を高めてくれます。
耐久年数も8年~12年と長めで、コストバランスに非常に優れています。 - 破風板、雨樋(2回塗り)
ファインウレタン - 軒天(2回塗り)
水性ケンエース - ベランダ防水(2回塗り)
ウレタントップ
少しですが我が家の外壁塗装の画像をお見せします。
壁塗装前 壁のあちこちで剥がれや破損等の劣化が見られます
外壁塗装後、すっきりした白さが気持ちいい!
屋根塗装前 普段見えないところですが、やはり劣化してますねぇ
屋根の高圧洗浄を行った段階。洗浄だけでもきれいにみえます
屋根の塗装後 うわ~光り輝く!
これが重要といわれる目地のコーキング部分 この部分のシーリング材を打ちかえます
まとめ
今回は外壁塗装を行う際の業者選定のポイントとして、我が家の実例をもとに説明させていただきました。
基本的にはどの業者も対応自体は丁寧ですが、塗料の違いなど科学的な話に及ぶ部分もあるため、どうしても難しく感じることはあります。
そんな難しい業者選定ですが、個別の選定ポイントは上項であげたとおりとして、最後に一つだけ補足すれば、説明内容がいかに”腹落ち”するか…だと思います。
説明内容だけでなく、話し方だったり、表情だったり、もちろん値段も。色んな側面で自分が納得できる業者であれば、ちょっとくらい他とくらべて高くても、おそらくそちらを選ぶと思います。
それだけ、信頼できる業者に依頼できる方が、結果として家の良い家の状態を保てると重いからです。
是非後悔しない業者選びをしたいですね。