日頃TVやインターネットをみていると、頻繁に領土問題に関するニュースが流れてきます。
しかし領土問題に関して、次の認識の方も多いと思います。
- そもそも問題の発端が分からない
- どういう経緯を辿って、今どういう状態なのか
- 正直…まったく分からない
今回はそういった方の疑問を解消する記事として、日本が抱える領土問題についてポイントを絞って解説いたします。
この記事で学べること
領土とは
まず”国”とはいったいどういう概念を指すのでしょうか。
答えをいってしまうと、国とは次の3つの要素を満たすものです。
- 領域
- 人民
- 主権
実はこの中の”領域”について、日本は長年にわたり他国との間に問題を抱えているだけでなく、現在進行形で危機も抱えているのです。
まずどういった領土問題があるのか
まずはどういった領土問題があるのか、カテゴリー分けしながら列挙していきます。
【外国に実行支配されている】
・北方領土
・竹島
【日本が実行支配している】
・尖閣諸島
【その他の危機】
・外国資本による国土の買収問題
同じ領土問題ではありますが、”実行支配している、していない”には大きな違いがあるのです。
そして最後の外国資本による日本の土地買収に関しては、領土問題ではなく合法で行われていることではありますが、識者から警鐘されている問題です。
では、一つずつみていきましょう。
外国に実行支配されている領土問題
このカテゴリーは日本政府により正式に領土問題とされているものです。
北方領土
北方領土とは、北海道根室半島の沖合にある、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の島々を差し、1855年にロシアとの間で日露和親条約(下田条約)を結び、国境線を画定しています。ただし現在ロシアが実行支配しています。
なぜ日本の領土でありながらロシアが支配しているのか、経緯をみていきましょう。
経緯
第二次世界大戦は1945年のポツダム宣言受諾により、日本が敗戦を受け入れました。
このポツダム宣言の中で、日本の領土について、次のように示されました。
日本の領土は”本州、北海道、九州、四国とその周辺の島々限定”
この”戦争で得た”というものに、北方4島は含まれないというのが日本政府の見解であり、歴史的にみてもそう解釈できるものです。
ただし、このポツダム宣言を受諾した後、当時「日ソ中立条約」が有効であった、ソビエト連邦が、南樺太と北方4島を含む千島列島を不法に占領したのです。
そして、1951年の連合国側と結ばれた”サンフランシスコ平和条約”において日本は主権を回復し、戦争状態が集結となったわけですが、この際正式に南樺太と千島列島を放棄することになります。
条文の中では、千島列島に北方4島が含まれないかどうか明確ではありませんが、冒頭で触れたように、日本は日露和親条約等で平和的に領土画定を行ってきたことを主張します。しかしソ連は応じずに、現在に至っています。
返還をめぐる動き
1956年に結ばれた『日ソ共同宣言』では、平和条約を結んだ後に、歯舞群島と色丹島を引き渡すと明記されています。これが”2島先行返還”といわれるものですが、今日まで平和条約は結ばれていません。
また日本政府の公式な立場はあくまでも四島一括返還です。
この他にも”三島返還論”や”共同統治論”、”面積2等分論”に”全面返還論”といったものまであります。
いずれにしても、ロシアの立場は以下のとおり
日本はサンフランシスコ平和条約で千島列島を放棄した。その後、ソ連による領有宣言により、北方領土の領土権はロシア側にある
『日ソ共同宣言』による2島返還は、あくまで善意に基づく譲渡、という立場
日本側の立場は以下のとおり
一度も外国の領土になったことのない北方4島はサンフランシスコ平和条約での放棄地にあたらない。
このように、互いの理屈で平行線をたどり、進展が見られない領土交渉ですが、この展開を打破しようと、2016年に入り安倍首相とプーチン大統領との間で「領土交渉に関する新たなアプローチ」が行われています。
これは簡単にいうと、北方4島による経済活動を活発化させることにより、極東の経済を活発化させ、ロシア側にも利益ができるように、win-winの関係を目指すものです。
プーチン大統領と仲の良い安倍首相のうちになんとか進展させたいところですが、そこは海千山千のロシア、なかなかスムーズにはいっていないようです。
最近のニュース
竹島
竹島は島根県の隠岐の島町に属する島で、17世紀半ば(日本では江戸時代初期)に日本が領有権を確立しました。ただし現在韓国が実行支配しています。
なぜ日本の領土でありながら韓国が支配しているのか、経緯をみていきましょう。
経緯
北方領土の項目でも触れましたが、戦後に結ばれたサンフランシスコ平和条約において日本は独立果たすことになりますが、同時に領有権の放棄も規定されていました。
この条約では日本が放棄する領地が次のように謳われています。
朝鮮、台湾、千島列島等に対する領土権放棄(第 2 条)
そして、朝鮮に関しては、更に詳しく述べられています。
日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
つまり、放棄地として竹島は含まれていないのです。
実はサンフランシスコ平和条約が締結される前、韓国はアメリカに対し、「日本が放棄すべき地域に竹島を加えて欲しい」と要求しましたが、アメリカはこれを拒否したという経緯があります―ラスク書簡
このような流れの中で、韓国は暴挙に出ます。
サンフランシスコ平和条約が発効される直前に「李承晩ライン」というものを勝手に引き、竹島(韓国名:独島)を自国の領土として取り入れました。
元々竹島付近で漁を行っていた日本人でしたが、このラインを超えたことで、韓国は過去に約4000人の日本人を不法に抑留し、そのうち8人を死亡させています。(日本漁船を拿捕し続けた韓国 抑留された漁師が味わった地獄)
日本は当然抗議や国際司法裁判所への提訴を試みますが、韓国は応じず、それどころか、竹島に警備隊員を常駐させ、宿舎や監視所,灯台,接岸施設等を構築し、不法占拠状態を今日まで続けています。
返還をめぐる動き
正直、竹島返還に関する日本政府の動きはほとんどありませんが、昭和29年、37年、平成24年の3回に渡って、国際司法裁判所へ共同付託を提案したことがあります。しかし、これに関しては、韓国が同意せず裁判に至りませんでした。
というのも、国際司法裁判所に付託するには、紛争当事国間の合意が必要で、どちらかが拒否すると裁判が成立しないのです。
近年は島根県による「竹島の日」が条例で定められ、毎年2月22日に式典が開かれていますが、日本政府は政務官を派遣するのみで、閣僚をはじめ首相の出席はされていません。
理由は「韓国を刺激するから」…このような意識では、領土問題が解決するはずありません。
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日本が実行支配している領土問題
実はこちらはついては、日本政府が領土問題という立場をとっていません。何故なら、今現在も日本が実行支配しているからです。
とはえい、危機にさらされている状況には変わりありません。
尖閣諸島
尖閣諸島は、日本政府が1885年から1895年にかけ慎重に調査し、どこの国の領土でもないことを確認したうえで、日本の領土に編入しました。戦後、一時的にアメリカ軍の占領下におかれましたが、1972年に沖縄県の一部として復帰したものです。
その尖閣諸島を中国が領土の一部だと主張し、様々な圧力をかけています。では、なぜ領有権を主張することとなったのか、経緯をみていきましょう。
経緯
1968年に国連による海洋調査が行われ、海底に石油などの資源があることがわかりました。中国が突然領有権を主張するようになったのは、その後の1971年以降です。
一説によると埋蔵されている石油の量は、現在の価値で800兆円ともいわれています。ただこの試算は、1968年当時の調査方法によるもので、1994年に経済産業省石油審議会が現代の方法で調査したところ、金額換算では約27兆円になるようです。
つまり、たんに資源のために欲しくなっただけであり、領有を主張する根拠はまったくないわけです。
近年では中国船籍の船による日本への領海侵犯が繰り返されており、年々その規模や頻度が拡大しています。
事件
尖閣諸島に関する事件といえば、「中国漁船衝突事件」です。
2010年9月7日、尖閣諸島付近をパトロールしていた巡視船みずきが、不審な中国船を発見し日本領海からの退去を命じるも、それを無視して違法操業を続け、逃走時に巡視船よなくにとみずきに衝突し2隻を破損させたというものです。
こちらがその時の様子です。
当時は民主党政権であり、当初この映像も極秘扱いされていました。
予算委員会でビデオを閲覧したにもかかわらず非公開扱いとしたのです。当時社民党党首の福島瑞穂氏は鑑賞後の感想として「コツンと当たっただけ」と、まったく見当違いなコメントを残しています。
そして、中国船の船長は日本で裁かず中国に送り返す、という中国に寄り添った対応は当時批判されました。船長は中国でヒーロー扱いです。
こうした徹底した隠匿体質、事なかれ主義に疑問を感じた、当時海上保安省の一色正春氏は尖閣ビデオをYoutubeにアップしたことで、国民が真実を知ることとなります。
この事件がきっかけで尖閣諸島という存在が日本国民にも広く知られるようになりました。
その他の危機
領土問題ではありませんが、土地に関連したその他の危機として、”外国資本による国土の買収”を説明します。
具体的として次の2点を中心に説明します。
- 長崎県・対馬の土地買収
- 北海道の森林買収
①長崎県・対馬の土地買占め
対馬は韓国から非常に近いこともあり、韓国人の観光客が非常に多い。そういった状況ゆえ、韓国人向けのホテルや飲食店を経営するため、土地が次々と韓国資本に買収されています。また海上自衛隊本部の隣の土地まで韓国資本に買収され、安全保障上の問題も指摘されています。
現在では韓国人なしでは島の経済が成り立たなくなってきているのです。
一方で、対馬の仏像盗難事件など、韓国人による事件な、マナー違反など多くのトラブルも発生しています。
土地買収は合法的に行われているものですが、外国人による土地取得に一定の制限を課すなどの声もあります。
対馬、島全体を韓国人が買い占め始めている…日本人の島民を雇う韓国人経営の店も
②北海道の森林買占め
北海道も外国人による土地買収が活発に行われています。
林野庁(農林水産省)の調査結果によれば、2017年中に外国資本に買われた森林面積は53ha。これは東京ドーム12個分に相当する広さです。
さらに2006年から2017年まで調査対象期間を広げると、買収された土地は日本国内の森林総面積は5789ha。これは山手線内側面積の9割に相当する広さです。
しかし、森林以外の土地売買については政府へ報告する義務がないため、実際どれくらいの面積の国土が外国人に買われているのか、データ自体がなく、あくまで氷山の一角といわれています。
買収している外資は主に中国です。中国人に買収された土地近隣では中国語や中国文化学習が行われているそうで、中国人による北海道の乗っ取りや、中国の拠点化が懸念されています。
まとめ
今回は日本が抱える領土問題について、ポイントを絞って解説させていただきました。
各問題がそれぞれの背景を抱えており、長い間事態が進展しないことからみても、領土問題を解決することの難しさを実感していまします。
私たちの日常生活にすぐ直結する事柄ではないかもしれませんが、尖閣や土地買占めなどはジワジワと真綿をしめるように進行していく怖さがあります。
それだけに関心を持ち、世論を高めていくことは大切です。なぜなら、国民の声が国会議員を動かす源泉だからです。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。