健康な体で毎日を過ごせることは、当たり前のようで、実は何にも勝る幸せなことだと個人的に実感しています。
実際にそういった健康意識の高まりを受けて、昨今では”健康寿命”をいう言葉が一般的になっています。病気や不調を抱えながら長生きするのではなく、心身ともに健康な状態で長生きを目指すというものですね。
今回は健康寿命を目指すため有効ないくつかの項目の中から、運動、特に実行のハードルが低いウォーキングに注目して、やり方や効果、継続の方法について説明いたします。
この記事で学べること
健康寿命を目指すうえで推奨されている取組
スマート・ライフ・プロジェクト
スマート・ライフ・プロジェクトというサイトで、健康寿命を目指すには”コレをやりましょう”という取組を掲げています。
スマート・ライフ・プロジェクトとは、”健康寿命をのばしましょう”をスローガンに、国民全体が人生の最後まで元気に健康で楽しく毎日が送れることを目標とした厚生労働省の国民運動のことです。
その取組とは次の4つです。
- 毎日10分の運動をプラス
- 一日あと70gの野菜をプラス
- 禁煙でタバコの煙をマイナス
- 健診・検診で定期的な健康チェック
”毎日10分の運動プラス”の実施例として、サイト内で”歩く”ことが推奨されていますが、同じ”歩く”でも、散歩とウォーキングがあります。この2つは同じ行為を指す言葉でしょうか?
散歩とウォーキングの違い
同じ”歩く”でも厳密にいうと、散歩とウォーキングは異なります。
気ままに行う散歩でも、血圧や血流の安定に一定の効果はあるといわれていますが、どちらかというと気分転換などの精神的リフレッシュの効果が大きいといえます。
対してウォーキングは有酸素運動が主目的であることが大きな違いです。そのためには歩き方や頻度・時間といったものに、ある程度の基準があります。
この記事では”健康寿命を延ばす”という切り口ですから、正しいウォーキングの習慣化というものを目指していきましょう。
正しいやり方と注意すべきやり方
ウォーキングを有酸素運動として健康の維持・向上につなげるためには、”だらだら歩く”のではなく、それなりのやり方があります。
フォーム
まずフォームについては、下記画像を参考にしてみてください。
ポイントは「⑥腕は大きく振る」と「⑨歩幅は広く」あたりです。
このあたりを意識すると自然と姿勢が良くなりますので、他の項目もいい感じになると思います。
この辺りが無意識に行えるようになれば、ウォーキングが特別なものではなく日常になります。例えば通勤や通学などの駅への歩き。そういった時間も全て健康つくりの一環として活用できるのです。
ではなぜこういった部分を意識する必要があるのでしょうか。それは主に次の2点を強化したいからです。
- 脂肪燃焼効果を高めるため
- 筋肉を刺激するため
適切なフォームによるウォーキングは上記2点を高めることに効果的です。
上記2点を高めるとどういったメリットがあるかについては後述します。
時間・歩数
適切なフォームもさることながら、”どのくらいやるか”というのも大事です。
【一日一万歩の根拠】
一日あたりのエネルギー消費量は約300kcalが推奨されている(海外の文献から)
歩行時のエネルギー消費量を算出(米国のスポーツ医学協会提唱の式)
体重60kgの者が、時速4km、歩幅70cmで10分歩く場合を計算すると、消費エネルギーは30kcalとなる。
つまり、1日当たり300kcalのエネルギー消費は1万歩に相当する。
引用:健康日本21
ただし歩きすぎも問題と警鐘を鳴らすのは「やってはいけないウォーキング」の著者、京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利さんです。
青柳さんは著書の中で、「一日一万歩以上は意味がない」「1万歩以上歩くと、免疫力が低下し、病気になる」として、具体例を交えながら説明しています。
その中で、青柳さんが提唱しているのが、「1日8000歩。その中に20分の中強度の運動を取り入れる」というものです。
この根拠は、青柳さん自身が、群馬県に住む65歳以上の住民5000人を対象に、15年以上の年月をかけて身体活動と病気予防の関係を調査したことから判明したものです。
なお、強度に関してはこのような基準があります。
- 低強度:鼻歌が出るくらいののんびりした歩き方
- 中強度:なんとか会話できる程度の速歩き
- 高強度:競歩のような会話ができないくらいの歩き方
つまり、一日8,000歩から10,000歩の間で、なんとか会話できる程度の速歩きを適度に盛り込めれば、間違いなさそうです。
ただし、シニアの方は一日7,000歩程度が適しているようです。(健康日本21)
ウォーキングのメリット
さて、適切なフォームや歩数を守ったウォーキングを行った結果、どのようなメリットがあるかについてあげていきます。
- 脂肪燃焼による肥満解消
- 代謝の向上による血中脂質や血糖値、血圧状態の改善
- 心肺機能の維持・改善
- サルコペニア予防
- 精神安定、集中力や創造性を高める、認知症予防
たくさんありますね。それでは一つずつみていきましょう。
①脂肪燃焼による肥満解消
ウォーキングは有酸素運動ですから、脂肪燃焼効果が期待できます。つまりダイエットのための取組としても向いています。
脂肪が燃焼し始めるまでには時間がかかります。脂肪燃焼の効果を高めるためにも上述した”中程度で20分程度”を取り入れましょう。
②代謝の向上による血中脂質や血糖値、血圧状態の改善
長崎大学の学術研究によると、ウォーキングなどの運動により、血糖値や血圧のコントロールが可能であるという研究成果が発表されています。
例えば、運動するときに使われる糖分の分解等に関してはインスリンを必要としないため、運動するとその分だけ勝臓の負担が軽減される。このことから、運動は糖代謝をスムーズにし、過剰な血糖値の上昇を防ぐことになり、その結果糖尿病を予防することにつながるとされています。
また、血圧に関しても、高血圧は血圧を下げる、低血圧は血圧を上げるという効果があることが分かっています。
③心肺機能の維持・改善
ウォーキングは足を使っての運動です。足は第二の心臓という言葉があるとおり、ウォーキングを行うことで足が血液循環のポンプの役割を果たし、心臓へ血液を送り返すことに役立ちます。
これにより血流が促進され、体の隅々に酸素が運ばれ、基礎代謝が高まります。
基礎代謝がアップすると消費カロリーが増え、肥満解消、中性脂肪の減少などの効果が得られ、心肺機能をアップさせることにも役立ちます。
④サルコペニア予防
サルコペニアとは、加齢や生活習慣などの影響によって、筋肉が急激に減ってしまう状態をいいます。
この状態も健康寿命を阻害する要因ですね。
シニアになると、何でもない道端でも転びやすくなります。これは主に筋肉の低下によってもたらされる事象ですが、この時の怪我により長期的に寝たきり→更なる筋肉の減少→気力も減少…という負のスパイラルになる可能性もあります。
ウォーキングで筋肉を刺激することにより、筋力の維持、向上が見込まれ、サルコペニアを予防することが期待できます。
⑤精神安定、集中力や創造性を高める、認知症予防
主に精神的な効果です。
散歩にも同様の効果はありますが、外に出ていろんな景色を見る、外の空気を吸う、太陽の光を浴びる…といった行為は、気持ちを非常にリラックスさせ、心をリセットする効果があります。
クリエイティブな作業に行き詰ったとき、「外の空気を吸ってくる」というセリフをよく聞くと思いますが、部屋の中でうんうん唸っているより、よっぽど建設的なわけです。
これまであげてきた肉体的な効果と同じくらい、大きいメリットであると思います。
ウィーキング継続のための工夫
こんなに効果的なウォーキングですが、この効果は長く継続できてこそより有効といえます。ただ、うまく習慣化が出来ればよいのですが、時に億劫になったりするものです。
ここでは、ウォーキングを長く続けるための工夫として、私が実践しているものも含めてご紹介したいと思います。
楽しみを見つける
ウォーキングをがんばった先に楽しみが待っている、というのはどうでしょう。
例えばお気に入りのカフェでお茶をする。コンビニで買ったスイーツを公園で食べる。休日のウォーキングであれば10時頃に出掛けて、出先でお昼ご飯を食べるというのもいいですね。
なんて思われるかもしれませんが、個人的にはそのくらいの楽しみはいいと思っています。もちろん高価なものを毎回というわけではないですが、たまにそうやって自分の中に楽しみを作ると、気持ちもノッて楽しくできると思うのです。
楽しい気持ちで行うウォーキングは、ちょっとばかりの甘いものを超える効果もあると、勝手に思っています。
上手に楽しみを作って、習慣化のきっかけにしましょう。
パートナーと一緒に
何かを頑張るときのやり方として共通するものに「誰かと一緒にやる」があります。
これは”けん制効果”を狙ったものです。
自分が多少気分がのらなくても、相手に誘われればやってみようかと思うし、相手の姿をみて、”〇〇もがんばっているし、自分もやるか”といった感じで取組へのきっかけとなることが一つ。
そして、結婚されている方は是非夫婦でやってみることをおすすめします。
夫婦でウォーキングを一緒にやる最大のメリットは”会話”。
普段家の中でそれほど会話がなくても、外にでて環境が変わると、不思議と会話が弾むものです。それは色んな風景が目に飛び込んできたり、リラックスした雰囲気がそうさせるのかもしれません。
家の中にいえば会話は子どもの話中心…といったご夫婦も多いと思いますし、それが悪いとは思いませんが、お互いに関する会話があれば、より良好な関係を築けるのは間違いありません。
フットパスコースをウォーキングしてみる
”フットパス”とはイギリスを発祥とする“森林や田園地帯、古い街並みなど、地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くことです。
フットパスの詳細はこちらをご参照ください。日本フットパス協会
上述のとおり、あらかじめコース化された道の風景を楽しみながら歩くといったものですが、趣旨からすると”散歩”に近いと思います。
ただウォーキングをするにしても、いつもと同じコースでは飽きてしまいます。みえる景色が違うというだけでもモチベーションは変わってくるでしょう。
例えばフットパスのコースが整備されている東京都の町田市では、専用のマップが販売されていますし、実際にフットパスのコースを紹介しているブログもあります。
これをみると地元に住んでいても行ったことがない地域もあるでしょうし、新鮮な気持ちでウォーキングできるのとともに、地元の新しい発見!という側面でも楽しい取組なのではないでしょうか。
スマホゲーム”位置ゲー”で楽しむ
”位置ゲー”とよばれるスマホゲームを楽しみながらウォーキングするという手があります。
位置ゲームの代表的なゲームに”ポケモンGO”や”ドラゴンクエストウォーク”があります。この両者に共通するのは、実際の地図上に表示される場所を巡ることで、ゲーム内での目的を達成したり、アイテムをゲットできたりするという点です。
つまり、”歩くことそのもの”が目的になるのです。
ただし、ゲームのため頻繁に立ち止まって画面を操作したりする必要があるため、有酸素運動としてのウォーキングには若干不向きなところもあります。
ウォーキングのためのおすすめグッズ
ウォーキングをするときに、あったらいいもの・便利なものをピックアップしました。
こちらのウエストポーチは、ペットボトルを固定できるので便利です。水分補給はウォーキングにおいても大事ですので、手ぶらで携帯できるのがいいですね。
心肺や血圧、歩数等を計測できるスマートウォッチです。価格が安い割には様々な機能が盛り込まれており、見た目もスタイリッシュです。
夜のウォーキング用に便利です。かなり明るいので防犯用としても役にたつと思います。
まとめ
健康寿命を延ばすという切り口で、ウォーキングのやり方や効果を説明させていただきました。
健康は失ってはじめて、そのありがたみがわかるともいいます。
冒頭にも書いたように、健康な体は当たり前のようで、何にも勝る幸せなことです。
その幸せをこんなに手軽に実現できる取組がウォーキングなので、やらない手はありません。
是非、ちょっとした時間を見つけて、ウォーキングを始めてみましょう。そして、始められた人はできれば継続していきましょう。