みなさんは「Society5.0(ソサエティ5.0)」という言葉を聞いたことありますか?
Society5.0とは、これからの日本の進むべき指針、コンセプトともいえるものです。
これを知ることを、今どういう技術が研究されていて、それを使ってどういう社会を作ろうとしているのか把握することができます。
私たちの少し先の未来に直結する事柄も多いですので、是非この機会に知っておきましょう。
この記事で学べること
Society5.0の概要
Society5.0は内閣府のホームページで、次のように定義付けられています。
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。
引用:内閣府ホームページ

まずは政府の作成した広報動画を見てみましょう。
Society4.0の情報社会では、様々な情報がコンピュータに蓄積されるようになりましたが、それらを活用するためには、自分らちで情報を選んで、分析や判断を行うことが必要でした。加えて、情報はサイバー空間だけっていう限定的なものでした。
Society 5.0では、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な情報が共有されることで、色んな付加価値を生み出すことができるのです。
ポイントは、実際のロボットや家電、自動車等とつながることで、サイバー空間だけの世界ではなく、まさに今の世界の延長線上がガラッと変わる可能性を秘めているところですね。

Society 5.0の概要や目指すべき先はなんとなく分かりましたが、肝心なのは具体的にどういう取組をいつ行うのか…という部分です。
その辺りを詳しくみていきましょう。
個別の取り組みと目標時期
「未来投資戦略2018」という政府の資料に、Society5.0として取り組むべく個別の具体的施策が明記されています。
ここではその一部について、取組内容と目標時期をあげていきます。
次世代モビリティ・システムの構築

無人自動運転による移動サービスの実現と、それを運用するための法制度整備を併せて構築しようという取り組みです。
ポイントは自動車の技術面だけでなく、交通ルールや責任関係も一緒に構築していくってことです。交通ルールについては同じく無人運転を推進している関係国とも協調していくようです。また責任関係は、民事責任や刑事責任のあり方、データ記録装置の設置義務化等を検討していくとしています。
いつまで | 取組内容 |
2020 年目途 | 公道での地域限定型の無人自動運転移動サービスが開始 |
2020年に | 自動ブレーキが、国内販売新車乗用車の 90%以上に搭載 |
2020年に | 安全運転支援装置・システムが、国内車両(ストックベース)の 20%に搭載、世界市場の3割獲得 |
2030年までに | 地域限定型の無人自動運転移動サービスが全国 100 か所以上で展開 |
2030年に | 安全運転支援装置・システムが、国内販売新車に全車標準装備、ストックベースでもほぼ全車に普及 |
次世代ヘルスケア・システムの構築

個人の健診・診療・投薬情報を、医療機関等の間で共有できるようにしたり、オンラインでの医療(服薬指導含む)の充実に向けた制度的な対応を整備、また、介護分野にはICTの導入を推進していきます。
それらの目的として、健康寿命の延伸を目指しています。
いつまで | 取組内容 |
2020 年までに | 国民の健康寿命を1歳以上延伸 |
2020年度までに | 400床以上の一般病院における電子カルテの普及率を90% |
2020年度から | 全国的な保健医療情報ネットワークを本格稼働 |
2025年までに | 国民の健康寿命を2歳以上延伸 |

次世代産業システム
モノのサービス化・ソリューション化として、例えば製造業などにおいては、各企業がそれぞれに独自に構築しているデータ共有等の枠組み連携することで、素材企業の開発力及び提案力を強化できるような整備を行ったり、ロボットをもっと社会に溶け込ますための、技術、法整備、またそれを推進する人材育成・確保等を行っていきます。
いつまで | 取組内容 |
- | 製造業の労働生産性について年間2%を上回る向上 |
2020年までに | 工場等でデータを収集する企業の割合を 80%に、収集したデータを具体的な経営課題の解決に結びつけている企業の割合を 40%にする |
2020年の | ロボット国内生産市場規模を製造分野で 1.2 兆円、サービス分野など非製造分野で 1.2 兆円 |
エネルギー転換・脱炭素化に向けたイノベーション
温室効果ガスの国内での大幅削減を目指すため、エネルギー・環境投資の拡大を図り、イノベーションの成果を活用してエネルギー・環境施策、関連産業の高度化を推進するとしています。
いつまで | 取組内容 |
2020年4月1日 | 電力システム改革の最終段階となる送配電部門の法的分離を実施する |
2020年度までに | 商用水素ステーションを160 か所程度整備する |
2025年度までに | 商用水素ステーションを320 か所程度整備する |
2030年までに | 乗用車の新車販売に占める次世代自動車の割合を5~7割とすることを目指す |
FinTech/キャッシュレス社会の実現

ブロックチェーン技術の登場により金融の世界も新しい流れを生まれています。それらの流れを加速させるため、関連法制の見直しやインフラの整備などを進めていきます。
また、現金処理コストの削減による事業者の生産性向上、消費者の支払いの利便性の向上等を実現する観点から、キャッシュレス社会の実現を目指すとしています。
いつまで | 取組内容 |
2020年6月まで | 今後3年以内に80 行程度以上の銀行におけるオープン API の導入を目指す |
2022年6月まで | 今後5年間に、IT化に対応しながらクラウドサービス等を活用してバックオフィス業務(財務・会計領域等)を効率化する中小企業等の割合を現状の4倍程度とすることを目指す |
2027年6月までに | 今後 10 年間に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す |
農林水産業全体にわたる改革とスマート農林水産業の実現
地方の多くは農林水産業を基幹産業としていますが、少子高齢化により担い手が不足するなどの危機に直面しています。
こういった課題に対して、産業全体に対して先端技術の実装を図ることで、生産性などを高めていくこととしています。
いつまで | 取組内容 |
2019年に | 農林水産物・食品の輸出額1兆円を達成する(2017:8,071 億円) |
2023年までに | 全農地面積の8割が担い手によって利用される(2017 年度末:55.2%) |
2025年までに | 農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践 |

まとめ
Society5.0により進められている取り組みの一部をまとめてみました。自動運転、ブロックチェーン、ICT、AI、キャッシュレス…どの取り組みも日頃耳にするワードばかりです。
これら次世代技術は、もう「次世代」ではなく、現在進行形で、しかもものすごいスピードで進化しています。その進捗はSociety5.0を始めとした政府の方針に基づき、官民一体となって進められていることが分かりました。
もちろん解決しなければならない課題もたくさんありますが、なにより夢がありますよね。
個人的には、国内の色々な問題をクリアするため、そして世界をリードしていくためにも、政府が戦略に基づいた未来地図を描くのはものすごく重要なことだと思います。
一人ひとりが、ちょっとでもこういうことを知っていれば、より取組が効率よく進んでいくんだろうと思います。
今度はより個別なテーマ、取り組みを掘り下げてみたいと思っています。